花おっさんの向こう側(5)孤独な戦士
私が長らく戦ってきたのは「自分の意に沿わない人たち」だけやなかった。
父と違って私は女性。
小さいころから女性というだけでいろいろ不利に扱われることも多かったわ。
どんなに優秀になっても、完ぺきを目指しても、強くなっても
「女性」というそのことが邪魔をした。
男に勝てば「女のくせに」
ちょっとしくじれば「これだから女は」
実力に見合った進学先(高校)が見つからなくて
(どれも男子校やったわ。)
「男の子に生まれてくれば良かったのにね」
なんて先生から言われたこともある。
父は娘の私には「女やからって後ろに下がってなくいい」とは言うてくれてたけど
その一方で母や他の女性に向けて「女のくせに」とか「これだから女は」って
女性を見下す言葉を吐くことが度々あった。
大人になり社会に出るとますます
女性というだけで見下し、実力をそのまま評価してくれず、力でねじ伏せようとする男性がいっぱい現れたわ。
残念ながらこの世界自体が、というか日本の社会は特に、まだまだ男性の価値観とルールで動いてる。
力があってナンボ、役に立ってナンボ、競争に勝ってナンボ
人の気持ちとか、安らぎとか、美しさとか、優しさとか、協調とか、そんなん甘い甘い!
そんな世界で女性が生きていくのは本当にしんどいし、いっぱい傷つく。
「女は損や」って文句を垂れ流しながらも現状に屈して生きていく女性もいるし
「女やからしゃあないわね〜」ってわきまえたふうに生きていく女性もいるけど
私は理不尽を押し付けてくる男性や男社会と真っ向から戦う道を選んだんよ。
そのために自分の中の「女」を封印したわ。
女性としての自分がとんでもなく柔らかくて弱いっていうのを
私はどこかで気づいてたんよ。
男性に勝てるくらいに強くなるには
ここがアキレス腱やと思った。
文字どおり「男顔負け」に頑張ったわ
「女のくせに」も「これだから女は」も絶対言わせへんくらいに。
(言うてきた男は容赦せえへんかったw)
こうやって書いてみると、ホンマ私あちこちと戦ってたんやね。
それって全部もともとは
社会やみんなに認めてほしくて愛してほしくてやってたことなんやけど
周りを傷つけて怖がらせて、敬遠されるだけやったわ。
「すごいね」とは言われたけど
「大好き」って寄ってきてくれる人はほとんどおらんかった。
泣き言を言いたくなったときそれを聞いてくれる人も
困ったときに手を差し伸べてくれる人も数えるほどしかおらんかった。
そりゃそうよ
こんな私じゃ近づくのも怖いし、煙たいもんねえ。
みんなに認めてほしい、愛してほしいって望んでたはずやのに
どんどん孤立していったわ。
孤立すればするほど私は1人で頑張りつづけるしかなくなって
戦いをやめられへんようになった。
それにこの「男に対抗して男顔負けに頑張りつづける」って
自分の女性の部分を否定して傷つけつづける生き方やわ。
当時の私はそのことに気づいていなくて
知らんあいだに私の女性の部分はどんどん傷ついていったの。
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