花おっさんの向こう側(8)最後に残ったもの

前回のお話「男性がプーチン化しやすいワケ」

約2年半前、父は亡くなった。

家族で唯一父と行き来のあった妹が知らせてくれた。

病院でなく自宅で亡くなった。

(何度かお世話になった病院があったんやけど

そこでも喧嘩しすぎて最後は入院を断られたらしいわ。)

このため変死扱いで警察の検死を受けたので

葬儀は亡くなってから2、3日後だったと思う。

喪主はあの再婚した女性やねんけど

妹夫妻は参列するって言ったわ。

そして私にも「最後やねんから来たら?」って。

離婚した母は当然くるわけもなく

兄も「連絡は受けたけど行く気はない」とのこと。

そりゃそうよね、2人ともさんざん父に苦しめられたんだもの。

兄はそれで鬱を発症したのよ。

亡くなったからといって赦せるわけがない

それくらいに傷つけられてきたの。

私はジュン爺のところで癒やしてもらって

父のことも理解できてきてたから

渋々やけど参列することにしたわ。

でも、もっと早く会いに行っていればって思った。

チャンスはいくらでもあったはず。

だけど自分の中にわだかまりが残ってて

それを捨て去る勇気が持てなかった。

「自分の問題より相手とつながることを選択する」

それが「リーダーシップ」であり

これによって自分も相手も前進できる

カウンセリングスクールでそう学んで訓練されたし

自分のお客さんや受講生さんたちにも

「リーダシップを取りなさい」ってたびたび教えてるのに

その私が父に対して

しょうもないわだかまりに囚われて

このリーダーシップを取れなかった。

心理カウンセラー失格やわ。

そしてもう二度とチャンスが訪れることはない。

葬儀会場に行って驚いたわ。

参列者がびっくりするくらい少なかったのよ。

後妻さんの兄弟数人

妹夫妻そして私。

父の兄弟や甥姪、友人は1人もいなかった。

兄弟、甥姪とはいろいろ揉めてたし、しゃあないわね。

友人が来ないのだって年老いて亡くなったらそんなもんでしょ

って思うかもしれへんけど

昔は金融業と不動産業でブイブイ言わせてた父やで。

金融協会の支部長とかになったこともあって

父に媚びへつらって寄ってくる人たちもいっぱいいたのよ。

でも会社が倒産した途端に誰もいなくなったわ。

あれだけ力を追い求めて頑張って、たえず競争して、虚勢を張って戦ってきたのに

それで得たものって何があるんやろ?

何が残ったんやろ?

「父の人生って一体なんやったん?」

お坊さんのお経を聞きながらずっと考えてた。

「父と同じように生きてきた私の人生も、一体なんやったん?」

ものすんごい無意味感に襲われ打ちのめされて

そのせいか不思議と涙は

最後まで一滴も出えへんかったわ。

次回のお話「真実の姿」

Visited 48 times, 1 visit(s) today
by

    メルマガ「花おっさん通信」

    個展やグッズ販売等、作家の活動についての最新情報をお届けします。
    (月2回程度配信)

    購読されたい方は、こちらからご登録ください↓


    関連記事

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    CAPTCHA


    このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください