私が「細長い紙に描いてみよう」と思ったきっかけ

こんにちは〜☆

花おっさん画家の鶴園みあです^^

今まで特に何も考えず、当然のように、A4とかB4といった普通の四角い支持体に絵を描いていましたが

2ヶ月ほど前に、「いろんな形状の支持体に描いてみるのも、面白いかも」と、刺激を受けた出来事がありました。

うちの近所にある藤田美術館

藤田財閥所蔵の古美術品が、展示されています。

古美術品の良さなんて、私には全く解らないのですが

この美術館の空間自体が大好きで、時々お散歩がてら寄ります。

昨年12月に行った際、すごく心を揺さぶられる作品に出会いました↓

細長い板の上のほうに、月が

下のほうには、その月を見上げる人物が2人

描かれています。

1人は、遣唐使として中国に渡った阿倍仲麻呂

もう1人は、確か、唐の詩人の王維だったかと。

仲麻呂は、とても長いあいだ唐の皇帝玄宗に仕えていたそうで

中国に渡って30年以上も経ってようやく、日本に帰る許可が下ります。

(仕事ができすぎて、玄宗さんがなかなか彼を手放してくれなかったそうな。)

その際、彼と親しかった中国の友人たちが、送別の宴を開いてくれます。

この絵は、そのときのワンシーン。

仲麻呂と王維が、月を見上げています。

この宴で仲麻呂が詠んだとされる歌があります↓

”天の原 ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に いでし月かも”

「天を仰いではるか遠くを眺めれば、月が昇っている。あの月は奈良の春日にある、三笠山に昇っていたのと同じ月なのだなあ。」

この絵で描かれているのは、日本からはるか離れた中国で月を見上げながら、もうすぐ帰れるはずの遠い故郷に思いを馳せている仲麻呂の姿なのでしょう。

板自体のサイズは、さほど大きくなかったように記憶しています。

だけど、細い細い横幅に対して縦がものすごく長いことで、月と仲麻呂たちとの距離が、すごく遠く感じられる気がしました。

「小さいサイズの支持体でも、形状によっては、いろんな距離感や奥行きが表現できるんだな!」

という発見がありました。

それが刺激になって、先日、細長いケント紙の切れ端に描いたのが、こちらなのですよ↓

まさか藤田財閥所蔵の作品と、この花おっさんの作品に、そんなつながりがあるなんて、びっくりですね!笑

これからも、いろんな形の支持体に描いてみようと思っています☆

ところで、阿倍仲麻呂さんですが

上の絵にあるとおり、「うえ〜い、やっと日本に帰れる〜♪」と喜んでいたのに

(ノリがおかしい)

乗った船が難破し、ベトナムに流れ着きます。

そしてそこからまた中国に戻ります。

結局、トータル50年以上中国で過ごし、72歳の生涯を閉じました。

送別の宴で見上げた月を、仲麻呂が故郷で見ることは、ついに叶わなかったわけです。

館内の作品解説でこのことを知り、改めて作品を見たら、仲麻呂たちと月との距離が、ますます遠く感じられ、なんとも切なくなりました。

***

展示作品を鑑賞した後は必ず、エントランスのカフェで、お抹茶とお団子をいただきます↓

若手作家さんたちによる作品のお茶碗に

スタッフさんが目の前でお抹茶を点ててくれます。

お団子も、目の前で焼いてくれます。

古美術品がよく解らないのに、私がちょいちょい来ちゃうのは、これが目当てなのかもしれませんw

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